(Credit to The Times)
現在行われているユーロ2020のデンマークvsフィンランドの試合で、イタリアセリエAのインテルに所属するエリクセンが、試合中に突然倒れるというシーンがありました。
記事によるとSudden Cardiac Arrest; 心臓発作だったようなのですが、チームのメディカルスタッフと運営側の救急隊員の処置のおかげで一命を取り止め、現在容体はStableとのこのとです。
スローインを受けに行った際に急に倒れたので、周りの選手もすぐに異変に気づき、メディカルスタッフもすぐにフィールドに駆けつけて処置を開始していました。
救急隊が入ってくるのが割と遅かったような気もしなくもないですが、すぐに評価が行われて処置が施されたおかげで、選手が助かったと言えると思います。
朝起きてコーヒーを飲みながら、SNSを開いた時にこのニュースが目に入ったのでびっくりして動画や記事を漁りましたが、それにしても著名な選手だけに世間に与えたショックは大きいのではないでしょうか。
(Credit to Good Word News)
今回の試合で素晴らしいと思ったのは、メディカルスタッフや救急隊員が処置に当たってる際に、チームメイトであるデンマークの選手たちが、処置の様子が見えないようにエリクセンの周りに円を作っていたことです。
選手たち自身が機転を利かせてそうしたのか、メディカルスタッフがそのようにしたのかはわかりませんが、選手のプライバシーそして尊厳を守る素晴らしい対応だったと思います。
Youtube等でも様々な動画が出ていますが、一つだけ気になったのは救急隊員がフィールドに駆けつけるのが遅かった点です。
本来、あのような倒れ方をして、明らかに周りの選手や観客からも緊急性が伝わる状況であれば、最悪の自体を想定してもおかしくはありませんし、そばに駆け寄ってABC* (Airway; Breathing; Circulation)を確認した上ですぐに救急隊員を呼ぶことも出来たかもしれません。
*2020年のガイドラインのアップデートでABCがCABに変わったとのことでした。
対応したチームドクターによると「最初の評価の段階で呼吸と脈はあった」、とのこと。
ただ、CPRも行ったとのことなのでABCが確認出来た後に容体が悪化したか、詳細はわかりませんが、救急隊を呼び込むのを躊躇した理由があった、もしくはそこまで頭が回らなかった可能性もなくはありません。
このような状況に備えるためにできることとして、あらかじめ緊急隊員と緊急事態にフィールド内に隊員を誘導するハンドシグナルを決めておくことがあります。
(Credit to Skybray)
これらのハンドシグナルは、片腕をグーにして頭の上にあげることもあれば、両手でバッテンを作ったり、その種類は様々です。
ここで大切なのは、第一に駆けつけるメディカルスタッフと救急隊員が、あらかじめ試合の前にコミュニケーションをとって共通認識を持っておくことです。
競技や大会によっては、あらかじめ緊急事態が起きたときにどのようにそれぞれが連動するか、ミーティングの場を設けることもあると思います。
(Credit to BOC)
個人的な経験をあげると、試合前に救急隊員に直接連絡の取れる無線を渡して、フィールド上で緊急を要する事態が発生した場合には、それを通じて隊員をフィールドに呼び込むこともありました。
国際大会ではLanguage Barrierもあり、この点が非常に難しくなることも考えられるので、大会主催者側のオーガナイズも非常に需要になってくると思います。
Euroのメディカル面がどのようにオーガナイズされているかは不明ですが、会場に救急隊が設置されていたようですし、Emergency Action Plan (EAP)なるものは準備されていたのではないかと推察されます。
アスレティックトレーナー などの現場スタッフは、いつこのような状況に出会すかわかりませんし、改めて常に最悪の状態に備えて日々勤めること、そしてEAPをしっかりと確立してスタッフ間での共通認識を持ってトレーニングをしておくことが重要であることを再認識する機会になりました。
以前にも、心臓突然死についての記事やEAPの大切さについては書いているのでぜひそちらも参考にしてみてください。
現場に関わる限り、研鑽の日々です。
Akira
Comments