今現在、日本でアスレティックトレーナー になりたいと考える際に、もっともそれに応じた資格といえば「日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー 」です。
実際、Googleで「アスレティックトレーナー 」と検索すると、ウィキペディアの次に出てくるのがこの日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー です。
通称JSPO-ATと略される日本スポーツ協会による公認資格ですが、実際の英語表記は
JSPO: Japan Sports Association*
AT: Athletic Trainer
(*なんでJSAじゃないの!?というツッコミはしないでおきましょう。。。)
となり、これらを略してJSPO-ATと呼ばれています。因みに日本スポーツ協会の前身である日本体育協会 (JASA)が存在していたときは、JASA-ATと呼ばれていました。
本記事では、JSPO-ATについて詳しく解説していきます。
2019年10月時点のJSPO-ATの資格保持者数
日本スポーツ協会によると、当団体によるアスレティックトレーナー の要請が始まったのは1994年まで遡ります。
それから約25年。日本スポーツ協会によると2019年10月時点で4139名のJSPO-ATがいるようです。調査から更に時間が経っているので、これよりも多い可能性は十分に考えられます。
私が日本の大学に在学中、恩師の教授に
「鳥取だけ一人もJSPO-ATがいないんだよ。ハッハッハ。」
と言われたのを思い出しましたが(島根だったかもしれません。間違いだったらすみません。No offenseで。。。)、現在は全都道府県で最低一人はJSPO-ATが活動されているようです。
JSPO-ATの最終学歴
日本スポーツ協会が2019年の一月に発表に発表した「第一回日本のトレーナー実態調査」によると、最終学歴は専門学校が44.0%、大学 (学士号)が33.6% 、大学院・修士号が13.9%、大学院・博士号が5.6% だったそうです。
第一回日本トレーナー実態調査 ・最終学歴 (2018)
Izumi & Hosokawa (2019) による研究調査でも以下の通りほとんど差のない調査結果が出てます。
Izumi & Hosokawa (2019)
話が逸れますが、泉先生と細川先生はアメリカでアスレティックトレーナー の資格 (BOC-ATC)を取った方々で私の大先輩にあたります。こういった調査を英論文としてまとめ、世界に発信できると言うことは非常に素晴らしいことだなと思います。
さて、個人的にはJSPO-AT取得者の中で約半数が学士号以上の資格を持っていると回答したことには少し驚きました。ただ、日本スポーツ協会が認定する「養成校」に該当する大学の数を考えてみれば当然の結果とも言えるかもしれません。
この事実は、日本のアスレティックトレーニング界にとっては良いニュースと言えるかもしれません。というのも、学士号は高等教育を経て得られるものですし、学問をしっかりと修めた上での資格取得ということは、その存在を社会的に認知してもらう上で非常に重要だからです。
米国BOC-ATCとの最終学歴の比較
参考までに、アメリカ国内では多くのアスレティックトレーナー が修士号以上の学位を取得しています。そして今年より、全てのアスレティックトレーニング教育プログラムが修士レベルに移行されるので (これまであった学士レベルの要請プログラムは今年をもって廃止。)、今後養成されるアスレティックトレーナー は全員修士号以上を持つことになります。
更に最近ではDoctor of Athletic Training (DAT)といって、博士レベルでアスレティックトレーニングを学問として専攻出来るようになってきています。これによりアメリカでのアスレティックトレーニングの学術的地位や評価は更に上がっていくと思われます (時間はかかると思いますが、理学療法士に対抗すべく協会が必死になってやっています。笑)。
これに対して、日本ではJSPO-ATの大卒者を除いたもう半分が専門学校卒で締められています。誤解を恐れずにいうと、やはり専門学校教育と大学教育では後者の方が社会的評価も高くなりますし、事実学問レベルとして大学の方が当然高いものになります。
なので、最終学歴の観点からいっても日本におけるアスレティックトレーナー の地位やお給料が上がらないのは当然といえば当然なのかもしれません。
日本において最終学歴がどれだけお給料に影響があるのか知らないので、安易には言えないのですが、JSPO-ATの資格取得の最低学位を学士号に引き上げることで、アスレティックトレーナー の社会的地位をあげることが出来ないのかな?と思っております。
政治的な側面を含めて様々な要因があるため、これを実現するのはかなりの労力と年数がかかるのは承知していますが、アスレティックトレーニングを広く広めるには誰かが始めないといけません。
その役割を求められているのが今現役で活動するアスレティックトレーナー ではないでしょうか。
まとめ
2019年1月現在のJSPO-ATの有資格者は4139人
有資格者の半数は大学卒、残りの半数は専門学校卒
私はアメリカでBOC-ATCになりましたが、渡米前には日本の大学でJSPO-AT養成プログラムを修了してますし、両方経験しているからこそ見えることもあるのではないかと思っています。
アメリカの良いところは見習い、その上で日本独自の強みを伸ばして、なんとかアスレティックトレーナー という職業の社会的地位の向上につなげられないか、個人としても考えなければならないと思っています。
Akira
Reference
Izumi, H. “E,” & Hosokawa, Y. (2019). Athletic Training Services in Japan: A Comparison of the United States and Japan Based on Educational Background. Athletic Training Education Journal, 14(4), 305–314. https://doi.org/10.4085/1404305
スポーツ指導者に関するデータ—スポーツ指導者—JSPO. (n.d.). Retrieved June 7, 2020, from https://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid248.html
"日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー (JSPO-AT)版報告書 ". 第一回日本のトレーナー実態調査. 公益財団法人日本スポーツ協会, 2019年. p. 3-4. https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/AT/Report/JSPO_trainer_report.pdf (参照 2020-01-02)
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