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執筆者の写真Akira

ウォームアップにジョギングは必要か?

久しぶりの更新です。いざ記事を書こうとすると「あの文献も引用した方が良いかな」など、色々と考えて書いてしまうので、かなり内容の濃い、悪く言えば長ったらしいブログになってしまうこともあります。


更に、エビデンスをしっかりと盛り込もうとするとある程度論文を読んでからでないとかけません。必然的に更新頻度も落ちてしまうことになります。


ということで、たまにはしっかりと文献を引用した記事を書くことにして、今後はもう少し気軽に読めるカジュアルな記事も載せていきたいと思います。


前置きが長くなりましたが、今日はふと頭に浮かんできた「ウォーミングアップにジョギングは必要か?」について、個人的な見解を綴りたいと思います。


スポーツの練習前の「アレ」


これは部活動などでよくみられると思うのですが、その競技のスキル練習(トレーニングのメイン)をやる前に「じゃあアップでみんなでグラウンドを○周しよう」という場面はよくあるのではないでしょうか(ないと言われたら今日のブログはここまでです。ありがとうございました。笑)。


チームによってはこれがルーティン化されているところもあると思います。それこそ野球部あるあるじゃないでしょうか(なんて言われたら野球好きな人に失礼かもしれませんが。笑)。それに対してしっかりと意味を持ってやっているかどうかは別として。。。


気温が落ちる冬場なんかは、単純にジョグをやっても良いかなとも思いますが、個人的にはこの「グラウンド◯周」は好きではありません


というのも、単純につまらないですし、これが毎日となると尚更です。もっと効率の良い時間の使い方があると考えてしまうのです。


これは選手の好みもありますし、その「ジョギング」のルーティンが好きな選手が多いチームであればやっても良いかなと思います。


そうでなければ他のものでもいくらでも代用が聞くので、別に「ジョギング」という運動様式でなくても良いということになります。


ジョギングを他の運動様式もしくはエクササイズ形式で補う前に、まずはジョギングがウォームアップにおいてどのような役割を果たしているを簡単に考えてみます。


ジョギングを運動生理学的にみてみると


いわゆるグラウンドをぐるっと走るようなジョギングというものをもう少し分解して、身体の内部に起きている変化を考えてみます。ざっくりあげると以下のものが考えられるのではないでしょうか?


  • 体温の上昇とそれに伴う筋腱組織の伸張性の向上 (Tissue Extensibility)

  • 心拍数の上昇と末端への血流増加

  • 筋における有酸素系代謝の活性化


細かく分解すればきりがないですが、こんなところでしょうか?極端に言えば、以上にあげた生理的な反応を体に起こすことができれば別にジョギングでなくても良いということになります。


当たり前のことかもしれませんが、以上にあげた身体に起きる反応を同じように促進する運動様式/エクササイズは山ほどあります。であれば短調で退屈なジョギングを毎日ウォームアップでやるのではなく、毎日もしくは数日おきくらいに違うものをやっても良いのではないでしょうか?


ちなみにここでいうジョギングは、ウォームアップの導入として行われるものをイメージしており、必ずしもウォームアップがジョギングで終わり、ということではありませんので、そこは強調しておきます、


補足として、例えばエアロバイクなどでも同じような身体的的反応を起こすことができると思いますが、「荷重 (weight-bearing)」と「非荷重 (non-weight-bearing)」と筋骨格系内の固有受容器 (proprioceptors)への刺激の入り方は違うかなと思うので、バイクはカウントしないことにします。(どちらも低強度の運動なので、実際そんなに違いはないとは思いますが。。。)


「校庭◯周しよう!」系ウォームアップに変わるもの


では具体的には他にどんなことができるでしょうか?私はここ数年はずっとサッカーチームで働いてきているので、今回はサッカーのウォームアップを例にしてみます。いくつかの例を以下にあげます。


  1. ダイナミックストレッチ/アジリティ(ステップワーク)

  2. 鬼ごっこ(e.g. 手繋ぎ鬼)

  3. ハンドボール

  4. ドリブル

  5. パス

1はいわゆる「ブラジル体操」のようにみんなで列を作って動きながら様々なダイナミックストレッチをする、誰もが知っているようなものです。


個人的にはこの手のダイナミックストレッチを10mくらいの距離でやらせて、スタート地点に戻るときにジョグをさせたり異なるステップを踏ませたりします。


他にも、ストレッチ前にシンプルにジョグで一定距離(場合によりますが、10m-15mくらい)を何往復かさせたり、スキップやサイドステップ、カリオカなど多様な動きを取り入れて、「動き」にもアプローチします。


様々な動きの中で体温をあげたり心拍数をあげさせる方が個人的には好きです。単純にジョグをさせるよりも、よりスポーツの中で求められる動きへの細かな準備をさせることができると思っています。


単純なストレッチなどでも帰りのジョグのテンポをあげたり、少しアジリティやプライオなどの要素を取り入れたり、エクササイズの構成次第でウォームアップの強度をコントロールすることができると思います。


(Credit to Kondicioni Trening)


2や3のような"Fun game"でゲーム感覚で選手に身体を温めさせるのも良いと思います。この手のものは個人的にはオフ明けの初日のアップや、連戦が続いて選手が疲れている時など、リフレッシュ目的で使います。


ハンドボールやバスケットボール、ドッジボールなども良いかもしれません(ドッジボールだと体温や心拍数をあげる目的では若干使いづらいかもしれませんが)。


Fun Gameで身体を温めさせて、気持ち的にもリラックスした状態から、ウォームアップのメインパートへと移行するやり方はよく使います。


(Credit to Tottenham Hotspurs)


4、5のようにボールを用いたウォームアップもよくやります。


ただし、ウォームアップでしっかりとダッシュを入れたい時などは、ボールを使うと注意が分散するので選手が狙ったスピードで走ってくれないケースも多々あります。


そのようなケースではあまりボールを使わないようにして、出来るだけシンプルなランニングドリルを加えます。


なんでもかんでもボールを使って、その競技の動きに近い形でアップをしようとすると、ウォームアップのムブメントプレパレーション(movement preparation)の意義が、根本的に失われてしまうので注意が必要です。


ただ、ジョギングのように単純に身体をあっためたり、メンタル的に本格的なアップへの準備をする際などにはボールを使ったウォームアップは非常に有用だと考えています。


(Credit to Kondicioni Trening)


(Credit to Kondicioni Trening)


まとめ

  • 身体を温めたり心拍数をあげることはジョギング"でなくても良い"

  • ウォームアップの構成をうまく変化させることで同様の効果が得られる

  • 選手はボールと友達。ボール競技は特に、タイミングに応じてボールを使わせると良い。

今回の記事ではジョギングに変わるエクササイズの例をあげました。とは言え、私自身も指導の中で必ずしもジョギングという様式を用いないわけではありません。


更に、「ジョギング」は毎回ある程度同じスピード・強度で行われるので、それを利用した選手のコンディションのモニタリング (athletes' monitoring)なんかも近年研究が進んで現場レベルでも使われてきています。


この辺りはまた今度、折をみてシェアします!


Akira

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